はじめに
GBR法(骨再生治療)は、インプラント治療にとっては かかせない処置です。
GBR法なくして、インプラント治療は考えられない程です。
それは、インプラント治療をご希望される方の半数以上は、
・歯周病!
・歯根破折!
・歯がないまま放置していた!
等の問題により骨吸収を起こしているのです。
そのため、骨の増大(増骨)なくしては、インプラント治療は行えないのです。
それでは、GBR法(骨再生治療)を行えば、100%骨は回復するかと 言いますと
違います。
GBR法を行うことにより、術前の骨吸収の程度にはよりますが、100%近く元の状態に回復するケースもありますが、
GBR法を行ってもほとんど回復が望めないケースもあります。
また、治療の難易度が高ければ、治療が行える歯科医師も限られてきますし、
術後の腫れや痛み等、治療を受ける患者様の負担も大きくなります。
さて本題の『GBR法の限界』についてを解説する前に、GBR法についてお分かりにならない方は、是非以下をクリックして下さい。
・GBR法(骨再生治療)とは?
骨はなぜ再生(増骨)できるのか?(骨再生のメカニズム)
それでは『骨は本当に再生(増大)可能なのでしょうか?』
『可能です』
基本的に骨は再生(増大)可能なものです。
例えば、腕 や 足 が 骨折したとします。
ギブス等をし、安静にしていれば、骨はくっ付きますよね。
これは、骨折した部位に骨が再生しているからです。
骨が再生するためには、『骨の細胞』が必要です。
『骨の細胞』が増えることにより骨は再生するのです。
しかし、骨の再生スピードは非常に遅いのです。
それに対し、歯肉や皮膚等(『歯肉の細胞』)は、再生スピードが非常に早いのです。
骨折した部位がくっつくのに数ヶ月はかかりますが、
皮膚(指 等)の粘膜が切れても 傷口がくっつくのに数ヶ月かかるということはありませんよね。
数日あれば、十分傷口は治ります。
つまり、皮膚や歯肉等の粘膜の治りは非常に早いのですが、
骨は治るのに時間がかかるのです。
この骨と歯肉の再生するスピードの違いが、骨の増骨(再生)に違いを及ぼすのです。
再生スピードの違いの話を 抜歯 に例えて解説します。
抜歯をすると “ 穴 ” があきます。
歯の根が埋まっていた骨の中の “ 穴 ” です。
この “ 穴 ” は、いつまでも開いているわけではありません。
次第に埋まっていきます。
ここで登場するのが、先程の『骨の細胞』と『歯肉の細胞』です。
『歯肉の細胞』は、治り(再生スピード)が早いため、抜歯でできた“ 穴 ”を急速に埋めてしまいます。
抜歯でできた “ 穴 ” に歯肉が入り込むということです。
この理由として、抜歯でできた “ 穴 ” がそのまま空いていたら大問題です。
“ 穴 ” の中には、食べ物は入ってしまいますし、
なにより “ 穴 ” の中は 骨 ですから感染してしまいます。
そのため、生体防御のために、歯肉(『歯肉の細胞』)は早く治り “ 穴 ” を塞ごうとするのです。
その結果、抜歯によりできた “ 穴 ” は、歯肉(『歯肉の細胞』)でいっぱいになってしまいます。
骨(骨の細胞)が再生(増骨)する場所がなくなってしまうのです。
GBR法の原理
GBR法の原理は、単純なもので、この歯肉の“ 穴 ”の中に入り込むのを防ぐのです。
そこで登場するのが、GBR膜です。
GBR膜は、薄いシート状でできています。
紙のようなものです。
このシート状のGBR膜を抜歯でできた“ 穴 ”の上におきます。
そして歯肉を縫合します。
つまり、GBR膜は、歯肉と骨の間に設置するということです。
GBR膜は、歯肉の下にあるため(歯肉と骨の間)、歯肉は、下方(GBR膜より下)に行けなくなったのです。
(歯肉が抜歯した“ 穴 ”に入り込まない)
つまり、GBR膜は、歯肉が“ 穴 ”に入り込まないようにするための『バリアー』なのです。
『バリアー』があるからこそ 骨はゆっくりと再生するのです。
下図を参考にして下さい。
骨再生の限界
それでは、GBR法を行うと 骨はどこまででも再生可能なのでしょうか?
答えは『NO』です。
骨の再生(増骨)には、限界があります。
骨の吸収状態により治療の難易度は変わります。
骨吸収が大きければ 大きい程 骨の再生(増骨)治療は困難を極めます。
骨の幅を増やすことはわりとしやすい(可能な)のですが、
骨の高さを増やすことは難しいのです。
一番簡単に骨が再生できる条件は、先に解説したように“ 穴 ”です。
抜歯でできた骨の“ 穴 ”の中に骨を再生させることは さほど難しいことではありません。
歯肉と骨の間の『バリヤー』であるGBR膜を入れれば、膜(GBR膜)で塞がれた
“ 穴 ”の中は 骨で再生(増骨)されます。
しかし、垂直的(高さが吸収)に骨が吸収された部位を もとの高さまで骨を再生させることを難しいのです。
つまり平になった状態を高くすることは難しいのです。
例えば、歯周病等で、骨の高さが、5ミリ吸収したとします。
インプラントを行うために、この5ミリを増骨(再生)させようとします。
この場合の骨再生は、非常に難しいのです。
その理由を説明します。
まず、骨が吸収すると それに伴い歯肉も吸収(下がります)します。
歯肉が下がってしまった状態で骨を回復させようとする場合、
歯肉を上方に引っ張り上げる必要性があります。
骨が増大(増骨)するための場所(スペース)を確保する必要性があります。
例えてお話すると 骨吸収により歯肉が下がった状態は、
『つぶれたテント』のようなものです。
『テント』の中に人や物が入る(入れる)ためには、『つぶれたテント』を立て直す必要性があります。
『つぶれたテント』を立て直すことにより、『テント』の中にスペース(隙間)を確保するのです。
『テント』であれば、支柱を立てれば良いのですが、歯肉はそのように うまくはいきません。
下がった(つぶれた)歯肉を上に引っ張り上げようと思っても 歯肉はそんなに伸びることはできませんし、歯肉がつぶれないように支柱を入れることも困難なのです。
最後にまとめとして…
ここまでは、骨が再生するためのスペースを確保することは、非常に困難であることを解説してきました。
最後に骨再生が困難な理由についてさらに詳細に解説します。
実際の臨床では、歯肉の中に人工骨を入れたり、
支柱の変わりになるような材料(チタン等でできたピン)を入れることにより歯肉と骨の間の隙間(スペース)を確保することを行いますが、100%元に戻させる(回復させる)ことは難しいのです。
以下のような問題も生じます。
例えば、歯が多数欠損していたとします。
骨吸収が大きく、そのままでは、インプラントができないため、GBR法を行う必要性があったとします。
治療期間は長いので、暫くの間は、義歯(入れ歯)がないと噛めません。
義歯を使用しながらGBR法を行うことになります。
そして、骨の高さを確保(再生、増骨)するためにGBR法を行います。
GBR法では、人工の骨を入れて高さを増したり、
支柱のような材質(GBR膜 等)を歯肉の中に埋め込み 歯肉をテント上に高くします。
しかし、骨ができるまでには、時間がかかります。
その間に義歯を使用すると 義歯でGBR法を行った部位は圧迫されてしまいます。
義歯により、歯肉が圧迫されると 骨が再生(増骨)するための、スペースが確保できません。
こうした問題も起ります。
また、歯肉は、多少伸びますが、いくらでも高さを確保するために
歯肉が伸びるわけではありません。
限界があります。
歯肉は、ゴムのように伸び続けるものではないのです。
歯肉が伸びないと高さは確保できないのです。
まとめますと、骨吸収が“ 穴 ”のような状態であれば、歯肉の侵入を防ぐためのバリアー(GBR膜)を骨と歯肉の間に入れることにより、ある程度骨の回復(増骨、再生)させることは可能ですが、
骨吸収が縦方向に起っている(骨吸収により高さが非常に少ない)場合には、
骨を100%元の状態に回復(再生、増骨)させることは困難になります。
これが、GBR法の限界なのです。
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