また、“ ネジ ”タイプが主流となっている理由の一つとして 骨の中に『筒型』を入れるよりも『ネジ型』で回転量をかけた方が骨との安定が良いということです。
次に『テーパータイプ』です。
簡単に言えば 歯の根と同様の形をしているタイプです。
この天然歯と同じ形態であることが大きなポイントになります。
先程の『シリンダータイプ』は、空き缶のように 上から下まで同じ太さの筒になっていますが、『テーパータイプ』は先端が細くなっています。
逆に言えば、上の部分が太くなっているとも言えます。
このような『テーパータイプ』ですが、
当医院で使用しているI.T.Iインプラント(ストローマン)では、『 I.T.I TE TMインプラント 』という名称で 2003年に商品化されています。
また、話は長く難しくなりますが、この『 I.T.I TE インプラント 』の臨床背景と理論的根拠についてお話しします。
歯がなくなると(抜歯すると)、歯を支えていた周囲の骨はどんどんと吸収(溶けて)してしまいます。
そのため、抜歯後にインプラントを行おうと思っても、骨の吸収のため、インプラント手術が確実に行えない状態になっていました。
つまり、今までの考え方では、抜歯してからインプラントを埋入するまでには2〜6ヶ月待つ必要性があったからです。
もちろん患者様にとって待つということは その期間は歯がないということです。
そうした抜歯後の骨の吸収による問題 と 治療期間の短縮という観点から
インプラント埋入のための新しい考え方ができたのです。
それが、『抜歯即時インプラント』です。
しかし、抜歯即時インプラントには 欠点がありました。
以下のような問題点です。
抜歯と同時にインプラントを行う場合、抜歯部の穴の大きさとインプラントの太さ(幅)には違いが生じてしまいます。
通常 抜歯部のほうが 幅が大きいので、インプラントの周囲には隙間(ギャップ)ができてしまいます。
この隙間を埋めるためにGBR法という特殊な方法が用いられてきました。
この治療法を用いると インプラントと骨との隙間に 骨を再生させることが可能になります。
しかし、インプラントとの隙間が大きかったり、インプラントの初期安定性が得られない場合には 適応しづらいこともありました。
また、GBR法は 技術的に難しいことも多いため、抜歯と同時のインプラント埋入には限界がありました。
こうした問題を解決すべく、開発されたのが、先程の『 I.T.I TE TMインプラント 』です。
この新しいインプラントは、抜歯した部位への使用を目的として開発されたもので、抜歯部との隙間を最小にすべく、テーパー上の形態になっていることと、骨との安定をよくするため ピッチ(ねじ山の間隔)が狭められています。
この続きは、こちらを参考にして下さい。
『テーパータイプ』は、初期固定性と審美的な効果が得られる 新しいタイプのインプラントです。
インプラントの形態としては今後、『ネジ型』で、『テーパータイプ』が主流となってきます。(2009年時点)

3 インプラントの表面性状:
インプラントの表面は、“ つるつる ”ではなく、細かい凹凸が あった方が骨との接触が非常に良いことが 多くの研究によりわかっています。
そのため、インプラント表面に凹凸をつけるための工夫がされています。
現在、インプラント表面の処理の主流となっているのが、
『サンドブラスト処理』 、『酸エッチング処理』です。
この表面処理をしているのが、私が主に使用している『I.T.Iインプラント』です。
この表面処理を『SLA表面(サーフェイス)』と言います。
( Sand blasted , Large-grit , Acid-etched )の略です。
『SLA表面(サーフェイス)』は、画期的なできごとと言ってもいいでしょう。
ここでちょっと話は長くなりますが、インプラントと骨の結合期間と『SLA表面(サーフェイス)』の誕生について説明致します。
通常、インプラントと骨との結合が完了する期間は 今までは3〜6ヶ月(場合によっては1年)かかっていました。
しかし、1999年にI.T.Iから 10年以上の研究期間を経て 最新のインプラントが開発されました。
これが、『SLAインプラント』と言われるもので、
骨との結合期間が非常に短くなっています。
骨との治癒期間は最短で『6週間』となり、患者様の負担もだいぶ少なくなりました。
さて話をインプラント表面に戻します。
『SLA表面(サーフェイス)』以外の表面処理法を行ったインプラントもあります。
『ハイドロキシアパタイト処理(コーティング)』というものもあります。
これは、骨が柔らかい部分では 非常に優れてた効果があるという報告がありますが、アパタイトの種類によっては経年的にアパタイトが溶解したり、
操作時にアパタイトが剥がれたりするという報告もあります。
しかし、ハイドロキシアパタイトインプラントの信頼性は 各種製作メーカーにより違いが大きくあり、メーカーによっては、上顎では 5年経過で成功率は96.6%という高いデータもあります。
信頼できるメーカーによっては ハイドロキシアパタイトは非常に良いものであると思います。
当医院においても 骨の状態によりハイドロキシアパタイト・コーティングしたインプラントを使用することがあります。(頻度としては少ないですが…)
アバットメントについての詳細
最初のところで書きましたように『アバットメント』は、被せ物を装着するための『土台』です。
設計によって様々な種類があります。
『アバットメント』には 大きく分けて
1. 上部構造をスクリュー(ネジ)で固定する方法
2. セメントで固定する方法
があります。
『スクリュー固定』は、
具体的に言うと、型を取ってできた被せ物を 接着剤で付けるのではなく、
『ネジ』で固定する方法です。
完成した被せ物の噛む面 や 被せ物の横の部分に メガネで使用するような『小さなネジ』が付いています。
インプラントとはこの『ネジ』で固定されることになります。
インプラントに被せ物を取り付ける際に、ドライバーのネジのようなもので、
締め付けて固定します。
『スクリュー固定』の最大の特徴として『取り外し』ができることです。
この『取り外し』ができることは 将来性を考えた場合、非常に利点となります。
被せものが『セラミック』や『ハイブリッドセラミック』のような白い材質の場合、
噛む力 や 歯ぎしりの程度等によりますが、磨り減ったり、欠けたりする可能性があります。
もし、欠けたりした場合、『取り外し』ができれば、一度取り外して修理できます。
長期間の間に磨り減った場合でも 取り外し、修理が可能になります。
また、万が一、インプラント自体に問題があった場合、取り外しができた方が
その後の治療を行いやすいという利点があります。
欠点としては、歯に収まるような『小さなネジ』を被せ物に埋め込むため、
非常に複雑な構造になります。
作製する被せ物の形も大きくなりやすいため、人によっては違和感がある場合があります。
作製するのも大変です。
そのため、コスト(費用)がかかることがあります。
また、小さな『ネジの穴』が歯の『噛む面』に設定されることがあります。
こうなると『穴』が見えてしまうことがあり、審美的に問題が生じることがあります。
また、『ネジの穴』は 噛む面の約30%を占めるため、噛み合わせを厳密に調整しなければなならいケースでは 対応が難しいことがあります。
さらに時々ネジが緩むことがあります。
これは、毎日、毎日、強い力で噛むことにより、ネジが回転し、緩むのです。
次に『セメント固定式』の利点、欠点になります。
まず 利点として、『スクリュー固定』にあった『穴』がないため、
審美性に優れ、細かい噛み合わせの調整が可能です。
また、『スクリュー固定』に比較して 作製が比較的簡単に行えるため、
完成した被せ物のエラー(不適合等)が少ないもの利点です。
欠点としては、
インプラント埋入に際し、審美性を重視して行った場合に起ることがあります。
前歯部の場合等、インプラントを審美的に行う場合、インプラントと上部構造(被せ物)の境目が見えないように この境目の部分を歯肉の内部に設置します。
なんのことだかわからない方のために、天然歯において被せ物を行う際の治療方法について解説します。
通常、天然歯を削って、被せ物を行う時には、削る境目をどこに設定するかは、前歯、奥歯等により異なります。
奥歯は、削る境目を 歯肉と同じ位置もしくは 若干歯肉より少し上に設定します。
つまり、被せ物と削った境目が歯肉の上になり、直接見える状態にします。
こうすることにより、境目に直接歯ブラシを当てることが可能となります。
また、被せ物は接着剤でつけますので、つける際にできる余分な接着材を取り除くことが確実に行えます。
しかし、削った境目が歯肉の上に直接見えるということは 前歯では審美的に問題を生じることがあります。
そのため、前歯等の審美性を重視する場合にはこの境目を歯肉の中(約1〜1.5ミリ)に設置します。
境目は、歯肉の内部にあるため、審美的には優れていますが、問題点もでてきます。
一つは 型を取ることが困難なため、エラー(再度型を取ったり、完成した被せ物がぴったりと合わない等)がでてきます。
次に先程あった、境目にある余剰な接着剤を正確に取り除くことが難しいのです。
これは 余剰な接着剤がきちんと取り除けたか確認することが困難であることとつながります。
もし、余剰な接着材が歯肉内部に残ると それが、原因で炎症が起ります。
話は長くなりましたが、審美性を重視する部位にインプラントを行う場合、
インプラントと被せ物の境目を歯肉の内部(歯肉縁下1〜1.5ミリ)に設定しますので、接着剤を取り残す可能性があります。
審美性重視するために、歯肉縁下にインプラントを埋入した場合には『スクリュー固定』との方が優れていると言えます。
その他にも利点、欠点はありますが、
『スクリュー固定』と
通常の接着剤を使用してつける『セメント固定式』は
その状況により使い分けているのが現状です。
当医院では 前歯を除く、奥歯で、1〜4歯程度であれば、
『セメント固定式』を行うことが多く、
前歯部 や 被せものの数が多い場合 には『スクリュー固定』にしています。
また、多数のインプラントにてブリッジとする場合には
半分『セメント固定式』にし、残りの半分を『スクリュー固定』にすることがあります。
ブリッジ全てを『スクリュー固定』にすると先程あった、ネジの緩みやネジ穴の問題が生じることがあるためです。
それでは 実際には『セメント固定式』と『スクリュー固定』は どちらが使用されているのでしょうか?
1999年に Misch が報告したデータによると全米のインプラントの固定方法の85%以上は『セメント固定式』であった。
とされています。
それぞれの特徴を生かして使用することが大切です。
* ちなみにこの『アバットメント』は結構 高価です。
インプラント本体よりも ちょっとだけ安い程度です。
歯科医院によっては このアバトメントの料金はインプラントとは別になっていることがあります。
そのため、単にインプラントの料金だけをみてもトータルの費用がわからな ければ、費用の判断にはなりませんので、ご注意して下さい。
当医院ではインプラント(21万円:消費税込み)の中にアバットメントの費用が含まれています。(2009年時点)

上部構造(補綴物:ほてつぶつ)
インプラントの被せ物には 大きく分けて以下の4種類があります。
1. セラミック
2. ハイブリッドセラミック
3. 金属
4.オールセラミック
それぞれの特徴について解説します。
まず、『セラミック』と『ハイブリッドセラミック』の違いですが、
『セラミック』は、 いわゆる陶器(瀬戸物)と同じようなものです。
変色はせず、審美的に最も優れています。
また 汚れが付きにくく、歯周病のような方や、ブラッシングが十分できない方には適しています。
欠点としては、非常に硬いため(天然歯よりも硬い)、
噛み合う歯が天然歯の場合には 天然歯が磨り減ってしまうことがあります。
特にインプラントは、骨と強固に結合しているため 噛み合う歯が歯周病にかかっている天然歯の場合には、負担がかかる可能性があります。
次に『ハイブリッドセラミック』ですが、素材としては『セラミック』に
『レジン』という物を配合して作っています。
『レジン』とは プラスチックのようなものです。
この『レジン』を配合することにより 硬さを天然歯とほぼ同程度にすることができます。
噛み合う歯が天然歯の場合には、天然歯を磨り減らしたりする危険性が少なくなります。
また、『セラミック』は、その性質から欠けたりすると修復することが困難な材料ですが、『ハイブリッドセラミック』の場合には、もし 欠けたとしても
ある程度であれば 口腔内で修復が可能です。
しかし、欠点としては『セラミック』に比較して審美的には若干劣ります。
レジンは、吸水性があるため 若干の変色を起す可能性があります。
また その吸水性のため、汚れを付着しやすいという欠点があります。
被せ物は一般的には、上記の2種類ですが、奥歯で審美的に問題がない部位は金属製の被せ物がよろしいかと思います。
金属ですが、噛み合わせの長期安定からすると 最も優れている材質です。
長期的には『セラミック』や『ハイブリッドセラミック』と同様に若干は磨り減りますが、かけたりすることはありません。
インプラントの被せ物としては、一番お勧めです。
しかし、欠点として 金属製ですので見た目に問題があります。
最も奥歯であればよいかと思いますが、少し手前になると見えてしまいます。
そのため多くの患者さんは、金属を避ける傾向にありますが、私達からすると安全性の高い金属がいいと思います。
結論として どれが優れているということではなく 口腔内の状態により使い分ける必要性があるかと思います。
見える前の部分をセラミックやハイブリッドセラミック、
見えにくい奥歯の部分を 金属にするという方法もあります。
また、上顎の場合、歯の表面(見える部分)のみ白くし、
噛み合う部分(咬合面と言います)のみ金属にすることがあります。
基本的に上顎の場合、噛み合う部分(咬合面)は見えませんので、この部分のみ、欠けたりしない材質(金属)が望ましいと思われます。
また、歯周病等の問題がある方は、汚れが付着しないセラミックがいいでしょう。
被せ物の材質は、噛み合わせや歯ぎしりの有無、審美性、歯周病の状態等さまざまな条件から考えていく必要性があります。
口腔内の状態に合わない材質を使用すると トラブルの元になります。
一生使用していく歯ですから問題が起らないことが大切です。
オールセラミックについては、こちらを参考にして下さい。
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